核が題材となった 映画作品を 紹介

前半から後半に掛けての展開

じっくり忍び寄る死の影

エンド・オブ・ザ・ワールドの醍醐味、と言って良いのかどうかは分からないが、某論破系ゲームに匹敵するほどの絶望がじっくりと足音をゆっくりと立てて近づいてくる世界観は圧倒される。最初から見ていれば分かるのだが、まだ前半は少しは秩序が守られていながらも訪れるだろう放射能の恐怖に多くの人が安住の地を求めて少しでも南下しようとする人が多かった。タワーズ中佐は軍人だけあってそうした被害に会うこと無く、平和に過ごしていたものの、段々と街の平穏が失われていく中で狂気を感じていたに違いない。

それは見ている筆者も感じられた。街を歩く人は大荷物で放射能がまだ訪れるのが先と思われる南へ向かっていくわけだが、その道中には好き勝手にやりたい放題な人々の姿が描かれている。街のショッピングウィンドウを破壊して回る若者を誰も止めようとせず、驚きもしないのだからこの時点で十分狂っているといえるかもしれません。軍人であるタワーズ中佐も自身の立場を考えれば本来治安維持に入るのが鉄則なのでしょうが、そんな悠長なことをしている場合ではない。

しかしまだ全てが滅んだと思われていた北半球の状況を受け止めていただけあり、何処か平和ぼけした立ち振舞をしている姿が何処か異常とも見られる。中年の男女が共に狂った世界を忘れるように恋い焦がれる中で断崖絶壁にて踊り明かすシーンに、現実から逃れようとする逃避を感じさせられたものだ。ただ賑やかな場面が割りと多くある前半部分で最初に狂気に捕らわれた末路が、片鱗を見せ始めます。

絶望に囚われて

いずれ訪れる死ならば楽しく生涯を終えたいではないか、そう言わんばかりに主人公たちは友人や部下たちと楽しく過ごしていきます。やがてタワーズ中佐は知り合ったメアリーという女性と逢瀬を交わしながら日々を満喫しているとき、ある日自動車を走行させていたら前方を遮るように別の車が道路の真ん中に位置していた。危うく大事故になりそうだったため、怒りを見せて文句を言おうとしたが近づいてみると、自動車に乗っている家族と思われる全員から異様な雰囲気が立ち込めていた。

後部座席には年端もいかない幼い子供が二人座っており、無邪気な笑顔を浮かべている。けれど対照的に両親の顔は既に生気を失い、歩く屍と言っても変わらないような顔つきをしていた。その異様さに何をする気かと尋ねた瞬間に、自動車は急発進をしてガードレールを突き破って崖の下へと自動車は落下していったのです。明確な表現こそないものの、即死と言える状況にタワーズ中佐はこんな世界になったことを改めて絶望するのです。

ですが中には希望を捨てずに前を歩いて行こうとする人もいた。

ホームズ家の人々

タワーズの部下であり、物語の中心人物としても描かれているピーター・ホームズは世帯持ちだった。子供もまだ小さく、これから先まだまだ夢や希望が待っているはずだったが、それが叶う可能性は一抹の望みすらなかった。訪れる恐怖から逃れるためにと、ピーターは妻と子供、そして自分も含めて楽に死ねるようにと薬物を用意する。

放射能汚染による苦しみから少しでも逃れるようにと選択肢のつもりだったが、夫のそうした態度に激昂する妻のメアリー・ホームズ。ここで彼女は政府が嘘を付いていることを見ぬいた上でも、少しは希望を持って生きていけないのかとピーターを叱咤激励します。仲睦まじいオシドリ夫婦としても知られているところが、より家族の絆を強くしているのでしょうが、これが後に訪れる結末になると涙無くして語れません。

生存者を求めて

放射能汚染が深刻な北半球への旅、先に話した希望と生存者を求めて向かう旅になる前にも一悶着あった。若い乗組員が海軍としての任務を受任するよりも人として、どうしてわざわざ自らの死期を早める場所へ赴かなければならないのか、その点を納得できない乗員が2名ほど出ました。

そんな二人にタワーズは海軍としての責務を果たせない物はいらないと言って即時、解任してしまいます。軍人的な視点で見れば失格、といえるでしょう。ですが世界の機能がもうあってないようなものの中で、死の大地へと赴きたくない理由もわかる。言葉こそ激を吐き捨てているが、二人の意図を汲みとっての自由を与えたとも見えなくもない。本来与えられた任務を遂行しないだけでも、軍によっては処罰はかなり重いからだ。そう思えば船を降りれてまだ幸せだったのかとも予想出来る。

突然やってきた希望

劇中の混沌たる状況の最中、物語が中盤に差し掛かるころになると突然希望が舞い降りてきます。タワーズ中佐たちが向かう先に人が送ったであろうメールを受信したからだ。映像データこそ再生する事は出来なかったが、メールに記された一文がタワーズたちに希望をもたらします。

『don't disappear(絶望するな)』

この一言に死の灰が舞い散る大陸にまだ生存者がいるかもしれないと、その可能性に期待がこみ上げてきます。それならば自分たちの仕事にも意義を見いだせると乗り気で潜水艦は出港した。しかし送られた先で待っていたのは、彼らが望むものは何一つなかったという事実だけだった。